2014年12月27日土曜日

学校の知的生産性

先日、名工大の先生から知的生産性関連でご講演をいただいた。屋内環境と知的生産性の関係性を導き出して屋内環境の評価に役立てようとする試みである。オフィスもそうだが、特に小中学校や大学では、知的生産性向上が大事にされることは容易に理解できる。

温熱環境でいうと、小中学校で生徒より大人(教員)のほうが環境に敏感で室温と知的生産性の相関は強いという。多少暑くても寒くても子供たちは、気にしない?ってことか。また、冷暖房される空間におかれた子供たちは、温度の変化に敏感に反応し不快感を覚えやすいという。

小学校で冷房が必要かと議論になることがしばしばあるらしい。汗だくになって先生の話を聞く姿をみるとどの親も冷房は必要と思うだろうが、汗をながしたくましく育ってほしいのも親の気持ちだろう。
某学校構内の室外機

2014年12月23日火曜日

ZEBの定義と動向、シンポジウム開催

空気調和・衛生工学会主催のシンポジウムが以下のとおり開催されます。

日時 2015 / 1 / 15(木)13:30 ー 17:30(13:00 開場)
会場 工学院大学 新宿キャンパス 高層棟 3 階 アーバンテックホール

日本のZEB定義に関する提案、ZEB建築の動向を紹介します。また、ZEB定義のあり方について、討論します。

申し込みが必要です。詳しくはこちらを、http://www.shasej.org/bosyu/1411/symposium20150115/symposium20150115.html

2014年12月9日火曜日

病院建築の短命さ

先週土曜、病院建築の短命さを考える、研究会が行われた。そこで、名市大の学長先生、柳澤先生、中原先生、谷口先生を含む7人の先生のご講演いただいた。

愛知県の病院建築の平均寿命は約40年、短命といわざるを得ない。そのわけは、社会的、経済的、物理的要因があり、医療技術の進歩、行政の政策、設備の老朽化が主な理由として挙げられた。

確かに、今から過去を振り返ると長寿命というキーワードはあまり重視されないまま、今に至っている気がした。だから、ちゃんとメンテする気にもならなかっただろう。うすうす長寿命化にむけてこれからは設計することが望ましいんだと理解しつつ、また今後40年、50年後、長寿命化でよかったか、はてながつく。

今の高齢化、人口減少など考える医療現場も介護中心の医療サービス普及に変わる可能性もある。今抱えているストックを病院として甦らせるのはいいが、その将来の転用も考えた設計が必要ではなかろうか。

いろいろ考えさせられる講演会であった。

パネルディスカッション2014.12.6

2014年12月3日水曜日

エアコン鏡

illustration of reflective panel on building
Stanford Newより
屋上に鏡を設置して、建物を冷やす特集な鏡がアメリカのスタンフォード大学の研究チームが開発したようだ。原理は放射を利用して建物内部の熱を大気に放熱する仕組みのようだが、詳細は分からない。これを実寸法大の建物に適用することが今後の課題のようだ。ヒートポンプならぬ、ヒートムービングミラーだ。

2014年11月13日木曜日

アースチューブの事例

今日、施設見学会があり静岡県に行ってきた。S社の本社ビルでいろんな省エネ手法が採用されたうえで、CHP、潜顕分離+デシカントなど効率向上システムや太陽光・太陽熱などの再生可能エネルギーを積極的に取り入れた最先端の建物であった。

そこで目を引いたのがアースチューブの取り入れ口の様子、小さな池の真ん中にしゃれた黒い箱状の外気取り入れはあった。水面から取り入れ口が相当近かったので、虫の侵入やにおいに問題はないか気になったが、設計者と施設管理者からは問題はなかったとの返事であった。

においやカビで問題のなる現場もあるようだが、問題なく性能を発揮しているケースはもっとあることに設計者は目を向けるべきではないか。また、研究者は問題の要因を明確にしその改善策を示すべきだろう。

ちなみに、この施設では真夏でもアースチューブの出口温度は25℃程度で、冬には15℃と安定していたそうだ。アースチューブの長さは100m、ピット内平均風速は最大で1.5m/sとのこと。

アースチューブの外気取り入れ口(私が見た中で一番おしゃれ)

2014年7月1日火曜日

世界の再生可能エネルギー利用は22.1%

2013年の世界の電力生産にかかわるエネルギー源のうち、再生可能エネルギー利用は22.1%となったようだ。過去8年間で約6倍も伸びたとのことで、大変歓迎すべきことだろう。伸び率が最も大きいのは太陽光発電で、まだ全体に占める割合は大きくないといえ、これからが注目される。国別では中国、アメリカ、ドイツ、デンマークが名を連ねる。

22.1%の構成は、水力が16.4%、風力が2.9%、バイオ1.8%、太陽光0.7%、その他からなる。

このブームが去らないように、みんな持続して頑張っていけねば、
2013年世界のRE利用統計(出典:REN21レポートより)

2014年5月26日月曜日

空調の不平等

通常の空調設計は、対象空間を均一な温度、湿度に保つことが目標である。一般的な居室なら、天井高が2.8m-3.0m程度であることを考えると、その考え方で問題はなく、空調設計の常識となっている。だが、天井高の高い空間では話が違う。ホールのような大空間では、上下温度分布を考慮した設計が要求されるし、居住域だけを空調するなど工夫が必要になる。

ということが、今までの常識であったが、今朝の新聞で不思議な記事にであった。NECがビックデータを使って、生産性の高い人には快適な空調を提供するように制御をするシステムを開発したという。要するにできる人には良質の空調を提供、逆をいえば出来の悪いひとには質を落としてやることなんだ。

空調の不平等、、最近やけにオフィスが暑いなぁと思ったら、自分はもう出来の悪い人になっているかもしれませんね。
床吹出し空調用の吹き出し口、出来の悪い人には風量を少なく、、、、?

2014年2月23日日曜日

LCEMツールVer.3.10がリリース

みなさん、待ち望んでいたLCEMツールの新しいバージョンがリリースされました。これで7回目のバージョンアップとなり、オブジェクトがさらに増強されました。

氷蓄熱のオブジェクトや水熱源ヒートポンプなどの熱源機器オブジェクト、その他サンプルシステムの増強が実施され、現場の多様なニーズにより柔軟に活用されることが期待されます。

LCEMツールを用いるエネルギーマネージメント実施が公共建築において義務化されるなどその普及が加速化する見通しです。この機会に一度ダウンロードして試してみてはいかがでしょうか。建築設備の知識をお持ちでエクセルに馴れっていらっしゃる方なら短期間でその良さを体験できるはずです。

入手方法は、簡単で以下のリンクからダウンロードをクリックするだけです。
http://www.mlit.go.jp/gobuild/sesaku_lcem_lcemtool_index.htm

地中熱交換器(Uチューブ型)のオブジェクト例



2014年1月24日金曜日

ASHRAE2014、Winter Conference

米国空調学会であるASHRAEのWinter meetingが閉幕した。今週の日曜から4日間の日程でニューヨークにて行われ、空調分野の先端技術や研究が紹介された。これに合わせてAHRのEXPOも同時開催、空調関連商品メーカーや部品メーカーがブースを構えてPRを繰り広げた。

学会のセミナーでは、CHP技術やエネルギー消費量の公開政策などが目を引いた。また、蓄熱技術では、地域暖房システム、CHPとの併用した蓄熱システムの例が紹介されていた。

日本では、負荷平準化と運転効率向上の利点があり、すでに事例は多くある技術であるが、アメリカでも注目を集める技術として紹介されていた。エネルギーコストの高騰や供給安定化にこれから需要が生まれる見方がつよい。

蓄熱システムの利用例については、データセンターや医療施設の冷熱源のバックアップ、プラントのチラーの負荷シフト、CHPと併用して温蓄(これは日本ではあまりないかと思ったが、)、そして、太陽光や風力発電のエネルギー貯蔵先(ヒートポンプで蓄冷しておく)としての活用可能性について語っていた。日本では、すでに考えられていた技術・応用例かもしれないが、改めて発表を聞くと覚醒される。なるほどとつい思ってしまった。

ここで、先を取らせないために、やることは多いだろう。頑張ろう

招聘してくれたNYUの先生、公演中
ミストとヒーターの一体ユニット
ソックスダクトのブース